Disc 1
1 風に吹かれて
1963年作『フリーホイーリン』収録。反戦や公民権運動などでの集会や行進で歌われ、ディランがプロテスト・ソングのソングライターとして一躍注目を集めるキッカケとなった。
2 くよくよするなよ
1963年作『フリーホイーリン』収められた、フォーク時代を代表する歌。恋人との関係が上手くいってない時期に書かれ、フォークソング・ブームを背景に多くの歌手がカヴァーした。
3 時代は変る
1964年発表のアルバム・タイトルでもあったこの歌は、固定概念にとらわれる愚かさを指摘し変化への柔軟性を訴える内容で、現代にも通用するメッセージ性を持つ代表曲。
4 悲しきベイブ
強く逞しい相手を探す女性にそれは僕じゃないと歌う、「男らしさ」の約束事を解放する新しいラヴ・ソングとして支持された。1964年作『アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン』に収録。
5 マギーズ・ファーム
1965年作『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』に収録。このロックソングは農民への酷い扱いに抗議するもので、労働者と企業など様々に置き換えての解釈が可能だ。
6 イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー
去り行く人に向け用心しろと助言する内容ながら辛辣な調子のヴォーカルからは、数々のニュアンスを汲み取れる。1965年作『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』に収録。
7 ミスター・タンブリン・マン
1965年作『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』に収録された、とても個人的で摩訶不思議なムードを漂わせた名曲だ。全米No.1を獲得したザ・バーズのカヴァーが有名。
8 サブタレニアン・ホームシック・ブルース
1965年作『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』からの第一弾シングル。本格的にエレクトリック・サウンドを打ち出した時期のヒット曲で、斬新なラップ調のヴォーカルが話題に。
9 ライク・ア・ローリング・ストーン
常識破りの6分を超えるシングルながら全米2位の大ヒットに。2004年<ローリング・ストーン誌の選ぶ偉大な500曲>で1位に輝く。1965年作『追憶のハイウェイ61』に収録。
10 寂しき4番街
1965年の全米7位のシングル・ヒットで『グレーテスト・ヒッツ』に収められた。エレクトリックを取り入れフォーク・ソング信奉者から痛烈な批判を浴びた事で生まれたといわれる歌。
11 アイ・ウォント・ユー
1966年作『ブロンド・オン・ブロンド』収録の典型的なポップソング・タッチの曲。軽快なメロディーにのって奇抜な人物がつぎつぎ現れるシュールな内容ながら、シングル・ヒットした。
12 女の如く
モデルとして活躍したイーディ・セジウィックはアンディ・ウォーホルと親交がありNYアート界の華だった。彼女に触発されて出来たとされるこの歌は1966年作『ブロンド・オン・ブロンド』収録。
13 雨の日の女
1966年作『ブロンド・オン・ブロンド』の冒頭を飾る曲。管楽器やタンバリンを交えたにぎやかなサウンドにのせたドラッグを示唆する歌詞は話題となり、全米2位を記録する大ヒットに。
14 見張塔からずっと
ジミ・ヘンドリックスのカヴァーでも知られるこの歌は1967年作『ジョン・ウェズリー・ハーディング』に収録され、ディランならではの世界観や終末観を皮肉を込めて描く代表曲の一つだ。
15 レイ・レディ・レイ
1969年作『ナッシュヴィル・スカイライン』に収録されたラヴ・ソングで、ディランらしからぬ甘く澄んだ声で歌われる。ディランは反対したがシングル発売され、結果、大ヒットを記録した。
16 イフ・ナット・フォー・ユー
1970年作『新しい夜明け』に収録されたポップ・カントリー調の親しみやすい歌で、ジョージ・ハリスンやオリヴィア・ニュートン・ジョンのカヴァーがヒットした事で広く知られるようになる。
17 どこにも行けない
牧歌的なムードを漂わせたカントリー・タッチの曲でザ・バーズが早々にカヴァーしており、そのメンバーの名前が出てくるディランの歌は1971年作『グレーテスト・ヒット第2集』に収録。
18 アイ・シャル・ビー・リリースト
1971年作『グレーテスト・ヒット第2集』に収められ、囚われ壁に囲まれた身の人間が釈放を願う歌詞を抽象的にして普遍性ある内容に仕上げた、ディランの巧みさが光る名曲。
19 天国への扉
初出演映画『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』のサントラ盤からシングル・カットされたこの歌は、多くのカヴァーが存在しエリック・クラプトン、ガンズ・アンド・ローゼズらのヒットでも有名。
20 ブルーにこんがらがって
全米No.1獲得の1975年作『血の轍』収録曲で、時間の感覚を無くし登場人物は一人称から三人称にまで至る。一枚の絵を描くように作り上げてみたかったとディランは語った。
21 いつまでも若く
1974年作『プラネット・ウェイヴズ』に収録され、生まれてきた息子に向け、こう育って欲しいと父親の思いを伝えるために作ったとされる、ディランの歌の中では解り易い歌詞のバラード
DISC 2
1 嵐からの隠れ場所
痛み、悩み、障害、苦難、絶望などいろいろな出来事からの救いの場所を用意する彼女。聖書から着想したと思われる考え深いこの歌は1975年のアルバム『血の轍』に収録されている。
2 ハリケーン
1976年発表作『欲望』に収録されていたシングル曲で、黒人ボクサー、ルービン“ハリケーン”カーターの無実を訴えた物語形式の8分を超えるメッセージ・ソング。
3 ガッタ・サーヴ・サムバディ
1979年作『スロー・トレイン・カミング』収録のグラミー最優秀男性ヴォーカル賞に輝く曲。歌詞が信仰心に訴える内容なので、キリスト教に改宗したとマスコミが大騒ぎをした歌だ。
4 ザ・グルームズ・スティル・ウェイティング・アット・ジ・オルター
1983年のショット・オブ・ラヴ・セッション時に録音され、シングルのB面として発表された。後にアルバム『ショット・オブ・ラヴ』の再発売時に収められたシャープなエレクトリック・ブルース。
5 ジョーカーマン
ファンキーなビートに乗せ聖書の用語を散りばめながら、不条理や矛盾だらけの現世について道化を象徴的に描きながら綴った歌で1983年作『インフィデル』に収録された。
6 エヴリシング・イズ・ブロークン
ダニエル・ラノワ・プロデュースの1989年発表作『オー・マーシー』に収録された、心地良いテンポのノリの良い曲。ニューオリンズで録音され、手堅いバックがディランの歌を支える。
7 ブラインド・ウィリー・マクテル
1983年発表の『インフィデル』に収録されなかったアウトテイク。ブルース歌手を題材に南部の情景を鮮やかに描くブルースで、情感溢れるディランのヴォーカルが高い評価を得ている。
8 ノット・ダーク・イェット
「まだ暗くなっていないけど、じきにそうなる」、やがて訪れる最期を意識した歌。プロデューサーにダニエル・ラノワを再び起用した1997年作『タイム・アウト・オブ・マインド』に収められた名曲だ。
9 メイク・ユー・フィール・マイ・ラヴ
ビリー・ジョエルやアデル、ガース・ブルックスらのカヴァーで知られる驚くほどひたむきでピュアな愛の歌は、1998年のグラミー年間最優秀アルバムに輝く『タイム・アウト・オブ・マインド』に収録。
10 ディグニティ
ディランと同じく新生キリスト教徒だった元NBA選手が亡くなった事で生まれた歌でオーバーダブされ1998年に初発売。後にオー・マーシー・セッション時のこの録音を『DYLAN』に収録。
11 シングス・ハヴ・チェンジド
映画『ワンダー・ボーイズ』の主題歌で、アカデミー賞歌曲賞を獲得。普遍的なテーマを歌った「時代は変る」を2000年に再構築した趣があり、味わい深い出来の代表曲になった。
12 ミシシッピ
『タイム・アウト・オブ・マインド』に収録されず、後に新録音され2001年作『ラヴ・アンド・セフト』で発表。「ミシシッピに一日長くいすぎてしまった」の歌詞が印象的な後悔の念を綴った歌。
13 サンダー・オン・ザ・マウンテン
30年振りとなる全米1位を獲得した2006年発表作『モダン・タイムズ』の冒頭を飾る歌。表情のあるヴォーカルがぐいぐいと聞き手を引っ張る、軽快なロック・チューンに仕上がっている。
14 ホエン・ザ・ディール・ゴーズ・ダウン
2006年発表作『モダン・タイムズ』収録の、ラヴ・ソング風だが「最期」を意識した歌で、年齢を重ねたからこそ生まれた名曲。ミュージック・ビデオではスカーレット・ヨハンソンが出演し話題に。
15 ビヨンド・ヒア・ライズ・ナッシン
2009年発表作『トゥゲザー・スルー・ライフ』に収録され、うねりのあるグルーヴが心地良い曲でブルージーなギターやアコーディオンがディランの活き活きとしたヴォーカルを引き立てる。